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「社会的責任の問題は、2つの領域において生ずる。第一に自らの活動が社会に対して与える影響から生ずる。第二に自らの活動とは関わりなく社会自体の問題として生ずる」(『マネジメント【エッセンシャル版】』)
工場の目的は、騒音を出し、有害なガスを出すことではない。顧客のために高性能の製品をつくることである。そのために騒音を出し、熱を出し、煙を出す。これら社会に及ぼす影響は、組織の目的に付随して起こる。かかる副産物はゼロとすることが理想である。
他方、組織は社会環境のなかに存在する。それは社会の機関である。したがって社会自体の問題の影響を受けざるをえない。地域社会が問題視せずとも、社会の問題は組織にとって関心事たらざるをえない。健全な企業、健全な大学、健全な病院は、不健全な社会では機能しえない。
あらゆる組織が、自らの本業を傷つけない限りにおいて、それら社会の問題の解決に貢献しなければならない。
社会や経済はいかなる企業をも一夜にして消滅させるとドラッカーは言う。企業は社会や経済の許しがあって存在しているのであり、社会と経済がその企業は有用かつ生産的な仕事をしていると見なす限りにおいて、その存続を許されているにすぎない。
「社会性にかかわる目標が必要となるのは、マネジメントが社会に対して責任を負うからではない。企業に対して責任を負うからである」(『マネジメント【エッセンシャル版】』)