数ヵ月後の役職定年を予告される
“ポスト明け渡し”面談のリアル

 多くの人は、40代後半からキャリア上昇の限界を感じ始め、50代半ばからは役職定年等の現実が訪れる。制度運用なので何も突然ということはないのだが、多くの50代管理者はその年の、さらに言えば、役職定年の説明案内が届く月まで、さほど気にはかけていない。日々仕事に追われる毎日を過ごしている方が多く、役職離脱の後のことを何か特別に考えている方は1、2割。大半の方は制度の概要を知ってはいるが、当事者意識を持つのは、その日がくることを意識し始めたときからだ。

 まず、よく行われている、役職定年者向けの面談のリアルなイメージを再現してみよう。

◇キャリアショックの現実=「あと半年で今の役職は降りてもらいますので…」

 ある日の午後、人事部長P氏と営業本部の営業部長A氏との、役職定年予告のやりとりから。

P人事部長:「すでにご存知のこととは思いますが、今日は、役職定年制度のことでお伝えしておきたいことがあります。実はわが社では、部長職は満54歳を迎える4月に役定ということになっており、A部長にはこの4月の異動で現在の部長職を降りていただくことになっています。組織の若返りや可能な限り多くの社員に要職を経験させたい会社の方針ですので、ご理解をお願いします」

A営業部長:「それは決定事項なのでしょうか。私の業績に何か問題があるのですか。もし決定事項だとしたら、後任予定はだれですか。私自身はどのようなポストに移るのでしょうか」

P人事部長:「これは決定済みのことです。今回ごく一部の例外の方を除きますが。後任者の件は追って時期にあわせ発令予定ですが、会社の方針から言えばおそらく40代後半の層から抜擢されることになると思います。今後のポストのことですが、ベテラン営業が不足しており、A部長には、引き続き重要顧客を担当する“担当部長”としてお願いしたいと思っております。なお、給与については現行の部長職手当てが減額になりますから、○○万円、20%ほど減収になります」

A営業部長:「そうですか…。担当部長というのは部下はつくのでしょうか。成績評価はどうなるのですか」

P人事部長:「原則、部下無しというのが通例ですが、それは新しい部長が判断することかと思います。成績評価などは新たな職務目標に基づいて行いますが個人業績のウエイトが高まるでしょうね。昔の活躍を思い出してまた現場で元気にやってください。これを機に、別の進路を考えるという方には、特別退職優遇制度で退職金が25%割増になる道もあります」

A営業部長:「お話はわかりました。自分なりに気持ちを整理しておきます…」