12月26日、安倍晋三総理が靖国神社を参拝した。参拝当日、中国では外交部報道官が定例記者会見で、また王毅外交部長が木寺駐中国大使を呼んで参拝を非難したほか、28日には楊潔篪(竹かんむりに褫のつくり)国務委員が非難の談話を発表した。
1957年生まれ、80年東京大学卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省、96年在北京の日本大使館参事官、帰国後北東アジア課長、経済産業研究所上席研究員を歴任後退官、2004年から12年1月まで、日中専門の投資ファンドの運営に当たる。 現代中国研究、特に中国経済の専門家として知られ、コンサルタント業の傍ら日中双方に向けた評論発表や講演等を行っている。 著書に「中国台頭」(2003年サントリー学芸賞受賞)、「岐路に立つ中国」(2011年)、「中国台頭の終焉」(2013年1月)がある(いずれも日本経済新聞社刊)。
「環球時報」が代弁した
興味深いホンネ論評
今回多くの中国メディアは政府の公式態度表明を報ずるのみだったが、新華社系列のタカ派メディア「環球時報」だけは、連日社説を発表した。以下の点(要旨)に見られるように、政府自らは口にし難い意向や公式発言では憚られるホンネを取り合わせながら代弁しているような趣があって興味深い。
・ 安倍政権下の日本との関係改善は絶望的になった。日本との首脳交流再開は決して急ぐべきではない。
・ 抗議デモは他に術のない小国が強大な国に対して執る反撃方法であり、大国になった中国には相応しくない。対日経済制裁も中国の利益を害してしまうので不適当だ。
・ 日本の選挙民が安倍政権を選ぶことや安倍総理が靖国を参拝することを中国が阻むことはできない。
・ 国際世論は安倍参拝批判一色であり、これを味方にして、安倍総理の悪行を宣伝すべきである。一案として、安倍総理や他に参拝した日本政治家らを(入国禁止の)ブラックリストに載せる方法が考えられる。