Uターン就職希望者にとって
原発立地自治体は選択肢に入らない?

連載第16回に引き続き、「給与水準」「労働市場規模」「失業率」「自治体の経済力」などを手がかりにして、各県の平均的な年収や仕事の得やすさ、行政・財政力からくる生活水準といった現実的な指標を割り出し、「就職幸福県」を分析していく。

 ピックアップする都道府県をスクリーニングするための一次データとなっているのは、厚生労働省や総務省、内閣府が発表しているデータに加えて、これまでと同様、「ダイヤモンドD-VISIONシリーズデータベースサービス 役員・管理職情報ファイル」である。

前回は、自治体の財政力を元に、住民の生活水準を調べたところで稿を終えた。財政力指数が高い自治体の財政基盤を支えている主な産業は、工場、発電所、空港、観光、ギャンブルという特徴がある。ただし、原発立地自治体では経済的恩恵を受けている反面、住民の健康面に犠牲を払っている可能性があるという指摘も行った。

 原発立地県は、Uターン就職希望者に対して、将来的に就業を勧められる自治体なのだろうか? 今回は、その考察から稿を始めたい。

 奇しくもこの原稿を書き進めている最中に、以下のような報道が流れた。

●中間貯蔵施設 「最終処分場化」に不安 県外受け入れ、展望なく

●放射性廃棄物 最終処分場、基準作り 規制委 国選定に安全お墨付き

●<中間貯蔵施設>原発周辺など国有化案…福島に受け入れ要請(毎日新聞)

 中間貯蔵施設のために国有化する場所として、福島第一原発を取り囲む国道6号線以東の南北約9km(大熊町:11km2+双葉町:5km2)と、福島第二原発に隣接する楢葉町の3km2が対象となっている。この計画案が進められれば、当然、元々同地区で暮らしていた被災者は帰還できない。