「サーバント・リーダーシップ」という考え方が、広まりつつあるそうだ。

 会社のビジョンを実現するのはあくまで部下。上司とはその部下を支え、尽くすために存在する、という概念だという。そんな上司がどのくらいいるかは別としても、最近の管理職の立場は変わってきている。セクハラ、パワハラについての啓発活動も進んでいるし、360度評価制度を導入する企業も増えた。3年で辞める新人が増えているなか、悪い意味で「サーバント(召使い)」にならざるを得ない管理職も多いのではないだろうか。

 上司たちに、うつの影が忍び寄りつつある。

うつ、のち晴れ。

 「若手が会社に対してドライになっていますからね。上司は仕事を振っても断られるので、仕方なく自分でやってしまう。おかげで残業時間が増えている人が多いんですよ」と、ジャパンEAPシステムズの松本桂樹EAP事業本部長は話す。

 ついつい「会社軸」で考えてしまう上司と、「自分軸」でしか考えない部下。その摩擦が上司たちを疲弊させている。遅刻した新人を注意したところ、「ていうか、この会社はどうしてフレックス制じゃないんスか!?」と逆切れされた――という、笑うに笑えない話もあるそうだ。

 自分たちが重んじてきた秩序が若手にまったく通用しないという現実に、無力感を覚える人も多いことだろう。実際、社員の心の健康支援を行うジャパンEAPシステムズのもとには、中間管理職の相談が急増しているという。おもな内容は部下との人間関係だ。

部下のうつが「伝染」する

 若手のうつが増えていることも、上司の疲弊感を強めている。