2000年になってやっと株式会社を認めたが、農業関係者以外の者に経営が支配されないよう、農業者や農業関係者の議決権が4分の3以上(農業関係者以外は4分の1未満の議決権)であること、役員の過半は農業に常時従事する構成員であることなどの制限がある。

 農業関係者以外の4分の1未満の議決権についても、販売業者などその農業生産法人と取引関係にある者でなければ取得できない。普通の人が出資して議決権を持つことはできないのだ。農地法の規制緩和の議論では、この点が見逃され、農業関係者以外の4分の1未満の議決権を2分の1などに引き上げることばかりが議論されるが、これは本質的なものではない。

農地を潰したのは株式会社ではなく農家

 農業に参入しようとすると、大きな投資が必要である。友人や親戚など100人から1人10万円ずつ出資してもらうと、1000万円の資金を調達できる。しかし、農業と関係のない友人や親戚などから出資してもらい、農地所有も可能な株式会社を作って農業に参入することは、農地法上認められない。

 このため、新規参入者は銀行などから借り入れるしかないので、失敗すれば借金が残る。自然に生産が左右されるというリスクが農業にはある上、農地法によって、農業は資金調達の面でも参入リスクが高い産業となっている。株式会社なら失敗しても出資金がなくなるだけである。

「所有と経営の分離」により、株式の発行によって、事業リスクを多くの出資者に分散できるのが株式会社のメリットだ。後継者不足と言いながら、農政はベンチャー株式会社など意欲のある農業者が参入する道を絶っている。結局、農家の後継者しか農業の後継者になれない。農家の後継ぎが農業に関心を持たなければ、農業の後継者も途絶えてしまう。

 株式会社に所有権を認めないのは、その利益追求的な性格から、農地を農業用として継続的に利用することの保証が得られないからだ、あるいは農地をいずれ転用するからだ、などと説明される。しかし、農家には利益追求的な性格がないのか、貸していると宅地に高く売ってくれという人が出てきた時に売れないので、農家が農地を貸さないで耕作放棄するのは農業的利用なのか、相続で大都市に居住している元農家の子どもに、なぜ農地の所有権を認めるのかという疑問に、農政当局は答えられない。