カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが、“弱点克服”に向け大きく踏み出した。

 手薄だった海外事業のてこ入れが効き始め、2013年9~11月期の連結決算で、海外ユニクロ事業の売上高は1140億円(前年同期比76.8%増)、営業利益は165億円(同97%増)と急成長しているのだ。今や売上高と営業利益の約3割を占める屋台骨となっているほどだ。

 原動力となったのが、中華圏(中国、香港、台湾)だ。海外店舗の6割に当たる312店(13年11月末)を出店しており、ユニクロブランドの認知度が高まったことが販売の拡大につながっている。昨年9月に開業した世界最大の旗艦店「ユニクロ上海」も、オープン初日は約2000人の客が行列する盛況ぶりとなり、中国事業が実りつつある。

「今後も中華圏では年間100店前後の出店を続け、最低でも1000店舗が目標」(ファーストリテイリング)と鼻息は荒い。

米国市場が未知数

ファーストリテイリングが今後の成長市場と位置づけるのが米国だ。ニューヨークの3店舗はいずれも前年比2桁の増収となった(写真はニューヨーク5番街にあるユニクロ店舗)
Photo by Hiroshi Tanaka

 中華圏に次いで注力し始めたのが米国市場だ。

 昨年度は7店だったが、今年度は一気に15店を出店する計画。現在のところ赤字が続く米国事業だが「今期からは郊外のショッピングモールに集中して出店しており、計画を上回る増収増益を達成した」と岡崎健・最高財務責任者(CFO)は黒字化への自信を見せる。

 もっとも、今のところ米国事業の成否は未知数だ。

「店舗の増加でブランド認知が広がれば、将来的には2000店舗に拡大する可能性もある」(青木英彦・メリルリンチ日本証券マネージングディレクター)と期待する声がある一方、「中国などと異なり競合がひしめく米国での成長は限定的だろう」(ファッション業界に詳しいコンサルティング会社、ディマンドワークスの齊藤孝治代表)とみる向きも少なくない。