デニムショートパンツにスタッズを付けたデコレーション。右は接客時に使うタブレット端末。スタッズ代390円+加工代500円で、自分だけのユニクロスカートができる

 定番商品を大量かつ安価に展開することを強みに、直近の決算では年間売上高がはじめて1兆円を突破したユニクロが、9月27日から従来とは一線を画する風変りなサービスを始めた。

 同社初のカスタマイズサービス「MY UNIQLO(マイ ユニクロ)」だ。マイ ユニクロでは、ラインストーンやレース、リボン、ボタンなど約170種のデコレーション部材の販売と加工をする「デコレーション加工・部材販売」と、パンツだけでなくワンピースやジャケット、コート、シャツなどの着丈つめや肩巾つめなどをする「お直し・リフォーム」の2種類のサービスを提供する。要は個々の顧客の要望に応じて、商品を自在にカスタマイズしてくれるわけだ。

一部ではすでに盛り上がっていた
“デコるユニクロ”

 目玉はデコレーション加工・部材販売、いわゆる「デコれる」サービスのほうだろう。店内に設置された「MY UNIQLOカウンター」で、デコレーション専用スタッフが数十種類のデコレーション例を閲覧できるタブレット端末を使いながら接客する。スタッフはデコレーション素材を販売するユザワヤが運営する「ユザワヤ芸術学院」で教育を受けた加工の専門家だ。

 従来はマス向けの定番路線がユニクロのコンセプトだったことを考えると、個々のニーズに対応するこうしたデコれるサービスは、真逆の方向感を持つ事業ともいえる。それだけに「みんなと同じ服はちょっと…」とユニクロの服を避けてきた消費者を取り込める機会になりそうだ。

 また、それとは別に、ここ数年若い女性の間でトレンドになっている「デコ消費」も追い風になる。マイ ユニクロプロジェクトのリーダーである岡田恵治氏はこう話す。「マイ ユニクロの主要ターゲットは10代後半~30代の女性。この層の女性たちのあいだではデコるニーズが高まっている。デコれる自分は“女子力が高い”と自己満足感を得られることが人気の秘訣になっているようです」。

 実は以前からユニクロの商品をデコることは、一部の若い女性の間で秘かなブームを呼んでいた。その代表が「デコクロ部」。参加者(部員)たちがユザワヤなどで部材を仕入れ、自分で加工したユニクロの商品の写真をサイト上で発表し合うコミュニティだ。そうした動きも視野に入れ、ユザワヤの協力を得ながらスタートさせたマイ ユニクロは、まさにユニクロによる本格的な“公式デコサービス”なのだ。