その一方でソニーの平井社長は積極的な事業投資をすることも明らかにした。

 スマートフォンに搭載するカメラの心臓部にあたるCMOSイメージセンサーの生産能力を日本国内で一気に引き上げる投資に打って出ると宣言した。半導体大手のルネサスエレクトロニクスの鶴岡工場(山形県鶴岡市)を75億円で買収。2014年度、2015年度の2年間でさらに275億円を追加投資することで、月産6万枚の生産能力を25%増の7万5000枚にする。

 ソニーが得意とするデジカメ市場はスマホブームで世界市場が委縮するなか、ソニーは世界屈指の画像処理技術に経営資源を集中させる戦略だ。周知の事実ではあるが、iPhoneに搭載されているイメージセンサーはソニー製だ。スマホ販売台数世界一を誇るサムスンのギャラクシーにもソニーのイメージセンサーが一部搭載されている。スマホの主要メーカーが売り上げを伸ばせば、ソニーの売り上げも伸びる構図だ。

 しかし世界最高のイメージセンサーを量産するだけでは物足りない。

 新興国を数多く取材してきたが、そのたびに思い知らされるのは“SONY”ブランドの強さだ。世界のエレクトロニクス市場ではサムスン、LGの韓国勢が日本メーカーを圧倒しているが、それでもまだ“SONY”は死んでいない。日本国内における“SONY”信仰はとうの昔に消えてしまったが、海外ではまだ生きている。

 ソニーの経営陣はそれがわかっているのだろうか。

「ソニーのテレビは憧れの存在」
“SONY”はいまもインドで生きている

 ITの世界は端末ビジネスにこだわる時代ではなくなった、というのはじつは先進国の事情である。周回遅れでIT時代を迎えた新興国では、いきなりスマホでITを体感する人々であふれている。IT環境の整備が致命的に遅れている新興国では、スマホを手にすることがITの入り口だ。さらにいえば新興国ではテレビは貴重な娯楽であり、新興国ではソニーのテレビはいまも憧れの存在だ。