久保氏は言います。「結局、好かれる人になることが商売で一番大切です」と。

 たとえば、リーダー。「リーダーにとって一番大切なのは、部下から好かれる人になることだ」と言うのです。確かにその通りでしょう。好きなリーダーから叱れたら反省するでしょうが、嫌いなリーダーから叱られたら腹が立つものです。

 これは、メンバーも同じ。好きな人が困っていれば手伝ってあげたくなるけど、嫌いな人が困っていてもその気にはならない。

 むろん、それはお客様も同じ。好きなスタイリストに髪を切ってもらうと気持ちがよいけど、嫌いなスタイリストのところには行きたくもないでしょう。

成果主義経営から180度転換
基本的価値観を“人間力経営”に

 そこで久保氏は、バグジーの人材育成の目標を「人に好かれる人間を作ること」におきました。人に好かれることが人間力という定義です。

 では、この「人に好かれる」という人間力を向上するためには、どうしたらよいのか? どんな要素を備える人になれるとよいのか?

 バグジーでは、その中心的な要素を「何事にも感謝の気持ちを持てる人になること」と捉え、その育成のための取り組みを様々な形で行ないました。

 その過程において、久保氏は、「人のために何かをする体験=利他の体感」をすることを施策の重点においたと言います。これは、その体験から返ってくる「人に心から感謝されることの喜び」を通じて、「感謝の気持ちの尊さ」を社員に体で理解してもらおうということです。

 たとえば、ボランティア活動の実施。その1つに病院や養護施設で、寝たきりの人や高齢者のヘアカットを行う活動があります。これは、あるスタッフの声かけから始まった活動です。

 ときには休日返上になることもあるため、当初は渋々参加するスタッフもいたそうです。しかし、カットを終えた介護高齢者たちが嬉しさのあまり涙する姿を見て、スタッフ全員が感動に包まれ、積極的な気持ちを持ち始めたというのです。

 これこそ、“利他の素晴らしさの体感”でした。そして、このボランティア活動の輪は、自然と広がって行ったのです。