外食市場が縮小する中、8期も成長を続けてきたマクドナルドが一転して2期連続の減益に陥った。低迷後は戦略が二転三転しているように見える。迷走はいつまで続くのか。
「世界で一番優秀な雇われ社長と自負している」。原田泳幸・日本マクドナルドホールディングス(HD)会長兼社長が、かつて週刊ダイヤモンドのインタビューで漏らした言葉だ。
原田会長といえば、7年間も減少し続けていた売り上げを、2004年に社長に就任して以降、11年12月期まで8期連続でV字回復させた実績を持つ。確かに世界トップクラスの経営者と呼んでもおかしくはなかった。
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ところが、12年、突然異変が起こる。売り上げが減少し始め、しかも、それが一時的なものにとどまらず、現在に至るまで続いているのだ。13年8月、業績悪化を受け原田会長は長年兼務してきた事業会社、日本マクドナルドの社長職をサラ・カサノバ氏に譲った。ただし、原田会長は引き続き日本マクドナルドHDの会長兼社長、加えて事業会社の会長職にはとどまっている。
2月に発表された13年12月期の日本マクドナルドHDの決算は、2期連続の減益となった。売上高は12%減、営業利益は54%減の115億円だった。一因はライバルの言葉を借りるなら「戦略がふらふらしていて、どこを目指しているのかさっぱりわからない」(牛丼チェーン関係者)ことにある。
そして、この迷走には意思決定をめぐる米国本社との関係が少なからず影響していそうだ。
長年、日本のマクドナルドの独自性は強く、日本オリジナルの商品も多い。しかし、米国本社からは常に、多くの“圧力”があった。特に、二つの点については口うるさく言われてきたという。一つは「日本はフォースフレーバー(第四の味)が多過ぎる」で、もう一つは「ディスカウントし過ぎる」だった。