最後のSから始める(Success)

 順番は逆になるが、TEFCASの最後のSからスタートしよう。SはSuccessの頭文字で、成功または目的や目標を意味する。それは、すべての努力が向かう先であり、それを達成するように計画されていることである。

 企業では社員全員が下支えしなければならない最優先課題を「ビッグS」として掲げる。これは、自社を差別化するために組織が定義した大きな成果を意味し、ビジョンと考えてもいい。重要なのは、「ビッグS」の中に現場の社員一人ひとりが個人のSの達成に役立つような部分を探す必要があることだ。

 あなたの成功、目標あるいは目的は、会社の売上を10%伸ばすこと、新製品の開発、もしくは部門の経費節減かもしれない。個人としての成功または目標は、昇進、あるいは家族と過ごす時間を増やすことかもしれない。各四半期にもそれぞれのSが存在し、年度が進むにつれて各四半期の結果が出る。ここでは、成功、目標、結果という言葉を同義に使う。

 なぜTEFCASの最後の要素であるSから始めるかといえば、成功の構成要素について明確なイメージを持つことで、この強力なツールが効果を発揮するからだ。

 旅を始める時に目的地についてぼんやりしたイメージしかないと、途中で多大な時間を無駄にすることになる。曲がる場所を間違え、間違った方向に進むことになりかねないし、ようやく到着しても、それに気づかないことさえあるだろう。同じようなことは、あなた自身、あなたのチーム、またはあなたの会社にとって成功とは何かについて、脳に明確なイメージを提供しない時にも起きる。具体的に定義するほど、その成功を達成するために脳が効果的に働く。

 目標達成に失敗する原因として最も一般的なのは目標に賛同を得ていないことである。これは目標の説明が不十分なことに端を発している。したがって、TEFCASを応用するための最初のステップは成功をできるだけ明確に定義することだ。