脳は成功指向のメカニズム(脳の法則2)であり、成功と定義されたことが何であれ、それに向かって作用する。脳は何が成功かがわかれば、それに向かって絶え間なく働く。部下に仕事を割り当てる前にリーダーが最初にすべきなのは、成功とは何なのかを時間をかけて注意深く詳細に説明することだ。

 さらに、脳は成功指向のメカニズムであるだけでなく、真実を求める(脳の法則6)ことも忘れてはならない。したがって、目標は妥当なもの、達成が可能なものである必要がある。例えば、腕をパタパタと動かして飛ぶことを習得するという目標であれば、脳はそれは不可能であると認識し、そうするための方法を見つけようとする努力はしないだろう。

 目標は妥当であるだけでなく、あなたがそれについて情熱を持っていること、あなたが心底から達成したいことであるべきだ。Sに対するあなたの熱意が生半可だと、脳はそこに達するための半端な努力しかしない。障害にぶちあたると、その目標がなぜ非現実的であるかについて言い訳をして、そこに達しようとする試みをやめてしまう。

 したがって、達成したいと望んでいる目標に向けて、自分が本気で関わっているかどうかを吟味しなければならない。あなたにとってそれがなぜ重要なのだろうか。抵抗にあった時に、あなたはやめてしまうだろうか。それとも目標について十分な情熱を持っているから、どのような問題が生じたとしても解決策を工夫するだろうか。こうした質問への答えは目標に向かうことに対してどの程度の熱意があるかを理解するのに役立つ。

 この時点で、一度立ち止まって、目標への傾注度を考慮に入れて望ましい結果をより精緻に定義づけてもいいだろう。大脳の知的スキルと感情をブレンドするのである。

 あなたが本気で目標を達成するつもりであることを脳に確信させるには、あなたの成功を心に描いて、感じて、努力の結実を味わってみるとよい。あなたが目標を達成しているところをイメージしてみよう。仲間や上司との握手を感じてみよう。祝福の言葉を聴いてみよう。昇給額を計算してみたり、あなたが受け取る報酬を試算したりしてみよう。成功を祝う食事を味わってみよう。

 大脳皮質の機能、五感と情熱を合わせて使うと、成果に対しての情熱が生まれ、継続的に障害を克服できるようになる。