消費者金融大手のアイフルが、事業再生ADR(裁判外紛争解決)の手続きを申請し、9月24日、正式に受理された。

 事業再生ADRとは、2008年から運用が始まった私的整理の手法の1つ。この申請により、第三者機関の仲裁によって、銀行など金融機関に対して債務の繰り延べ返済を要請し、2000人規模の人員削減や店舗の統廃合などを進め、経営再建を図る。

 アイフルが事業再生ADRの申請に至った理由は、ひとえに資金繰りが限界に近づいたためだ。

 06年1月の最高裁判決以降、右肩上がりで増え続けてきた過払い金返還請求はいまだ高止まりを続けており、昨年度だけでもキャッシュアウトと元本相殺分を合計すると728億円にもなる。加えて、改正貸金業法による上限金利の引き下げで利息収入は大幅に減少。また、リーマンショックの影響もあって、新たに融資をしてくれる金融機関は皆無だ。

 これまでは、回収した元本を融資の返済に充てるなどして耐え忍んできた。だが、与信の厳格化と相まって、数年前まで1兆円を超えていた貸出残高はいまや、約5500億円へと半減した。この残高では、「優良顧客と延滞している不良債権しか残っていない状態。これ以上、回収した元本を返済に回そうとすれば、“貸しはがし”をするしかない」(関係者)という状況にまで陥っている。

 いまや、少しでも資金計画が狂えば、残高が2000億円以上ある社債の償還に支障を来しかねない。うち約1000億円が海外投資家の保有分であり、「万が一、社債がデフォルトすれば、社債市場に与える影響は計り知れない」(関係者)。そのギリギリの期限が今月末のため、事業再生ADRの申請に至ったというわけだ。

 では、金融機関への返済を先送りし、事業規模を大幅に縮小することでアイフルは存続できるのか。その答えは、非常に難しいと言わざるをえない。

 なぜならば、金融機関に対する債務は免除や株式化の予定はないため軽くならないし、社債の償還は予定どおり行なわれる。加えて、私的整理のため、過払い金返還請求は今までどおり続く。さらに当面は、駆け込みにより返還請求は増加するだろう。となれば、資金繰りは少し軽くなるにすぎない。

 なにより本業が窮地に追い込まれている。利息制限法金利(15~20%)以下の貸し出しでは、コストを考えれば利益は出ない。また、改正貸金業法による年収の3分の1までしか貸し出せない総量規制などの影響が本格化するのは、まだこれからだ。

 事業再生ADRの申請が正式に受理されたとはいえ、時間の猶予をもらったにすぎない。生き残れるかどうかは、過払い金返還と同様、神のみぞ知る世界である。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 藤田章夫)

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