ちなみに中国では最近、「装忙族」という言葉が流行っているそうです。これは、まさに忙しい振りをする人たちを指す言葉です。勤務中にそれほど忙しくなくても仕事に追われているふりをして、「自分は忙しく、あなたよりも立場が上だ」とアピールするのが目的だといいます。中国青年報社会調査センターの行った調査(2009年)によると、「自分は仕事中、『装忙族』だ」と認めている人は86.1%にのぼるとのこと。忙しいふりをしながら、

・頻繁に職場のデスクを離れてトイレや給湯室で休憩
・勤務時間中にオンラインでゲームをして時間をつぶす

 などちょいちょいと仕事をさぼる。暇な時間があるのに、いつも忙しいふりをするのは、「周囲に好印象を与える」「忙しい人を周囲は評価する」と思っているからのようです。どうやら中国も日本と状況は同じみたいですね。

本当に忙しい人は損をする!?
“忙しいふり族”に不審感を持った同僚は…

 ただ、忙しいのが“ふり”ではなく、「本当に忙しい人」もいます。Oさんと同じ職場のRさん(32歳)は、仕事が好きで面倒な仕事や人が嫌がる仕事も喜んで引き受けるタイプ。結果として、同世代の社員たちで圧倒的に担当業務が多い状態になっています。ところが、そんな忙しい状況になっても、決して「忙しい」なんて口に出しません。

 例えば、

「1つお願いしたい仕事があるのだけれど、来月は忙しいかな?」

 と同僚から相談があると、無理な状況であっても「大丈夫ですよ」と引き受けてしまうのです。

 そんな本当に忙しい人と忙しいふりをしている人が同居する職場で、ついに1つの事件が起きました。

 ちょうど、新たなクライアントの仕事を誰に担当させるか、上司と部下全員で集まり、決めようとしていたときのこと。このクライアントは、大手広告代理店からバジェット(広告予算)を切り替えてきた重要な案件。当然ながら手間も時間もかかりそう。ですから、誰もが「私が担当します」と手を挙げることを躊躇していました。仕事好きのRさんも担当している案件数が、過去最高の状態にまでなっており、

<引き受けたら、クライアントに迷惑をかける可能性が高いから、やめておこう>

 と思ったので、顔を伏せて、上司から指名されないように消極的な姿勢を示していました。ただ、誰かが担当をしなければならない仕事。上司は何名かに声をかけました。そこで声がかかったのがOさんでした。