こうしたことは、特に関東地域などで頻発すると予想される。もし、大手ガス会社が卸先の中小ガス会社の地域にある需要家からのガス供給申込みを断ると、その需要家から卸先である中小ガス会社とのカルテルだと訴えられた場合に、挙証責任が問われることになるはずだ。

 したがって、近接するガス会社間の託送料金や保安関連費用の設定も含めた『広域的ガス供給ルール』を整備しておくべきである。 

【論点4】
地域独占と供給義務の
撤廃に係る代替措置

 地域独占の撤廃は、「供給義務」の撤廃を招く。供給義務によって消費者(天然ガス需要家)の既得権とされてきた安定供給性を消費者から剥奪することに、どのような政策的利益があるのか。都市ガス(天然ガス)はLPガス、灯油、電力(オール電化)と競合しているが、既存需要家はガス器具交換やリフォームなどの支出を伴うので、エネルギー転換を即刻できるわけではない。

 消費者保護の観点からも、「最終保障サービス」を地域独占・供給義務の撤廃に係る代替措置として講じておくべきだ。最終保障サービスに係る義務は、実態に応じ、天然ガス導管事業者又は天然ガス小売事業者に課すようにすべきだ。

【論点5】
料金規制撤廃の
仮定時期と必要な分析

 これまでの審議経過で、既得権益者である大手ガス会社から中小ガス会社までの全員がガス小売全面自由化に賛意を示しているのは、全く不可解だ。ガス業界の要望した料金規制撤廃の実現との取引なのではないかと、疑ってみたくもなる。

 電力・ガスともに参入全面自由化をする場合には、競争条件がイコールフッティングになるよう、参入規制撤廃に係る規定は同日施行とする必要がある。同じように、電力・ガスともに料金全面自由化をする場合には、料金規制撤廃に係る規定も同日施行とすべきだ。