“消えゆく業界”から海外シェフ注目の食材へ <br />日本の食文化を守る「幻の昆布問屋」お手頃な価格の品から最高品質のものまで、種類の豊富さに驚かされました

「ヒノキの白木を使い、展示パネルの一部には河和田の漆塗りを。床は福井県名産の笏谷石を使っています。表にある日本画は特別に描いていただいたものです。ギフト用には本店と同様に越前和紙の箱をご用意しました。これに商品を自由に入れてもらうことができます。箱を捨てるのは、もったいないでしょう。だから使えるようにね、サイズもA4であったり、CDケースのサイズだったり、現代の生活にあわせています」

 日本には優れたものがたくさんある。高度経済成長からの一時期、効率化と合理化を推し進めるなかで、日本はそうしたものを見失っていた。しかし、経済が低迷するなかで、奥井さんたちのような方の努力もあり、本物がまた再発見された。 

 取材を終えて考えたことは『繋がり』ということだ。

 昆布の文化を守ることは、日本の食文化を受け継いでいくでもある。また、ひとつの箱によって、越前和紙の文化もまた受け継がれ、発展していく。もっと言えば昆布が使われる料亭は建築や庭をはじめ、器から食材にいたるまで日本文化のショーケースと言っていい。

 食はこれまで産業としてはさして重要なものとして扱われてこなかった。しかし、食が生み出す繋がりは地域経済にとっても、けっして小さなものではない。そして、その繋がりこそ、日本が世界に誇れるものなのだ。

※統計データはすべて農林水産webページ「特集 ニッポンのおいしいをもっと世界へ」より引用

【動画】奥井海生堂 昆布問屋

(写真・映像/志賀元清)

“消えゆく業界”から海外シェフ注目の食材へ <br />日本の食文化を守る「幻の昆布問屋」

<著者からのお知らせ>

 僕の新しい小説『スープの国のお姫様』(小学館)が3月4日に発売されました。当連載とは直接的な関係はありませんが、今回は食の歴史も豊富に盛り込みました。

 書店などで見かけることがあれば、手にとってみてください。