(上)松前漬けと、昆布と大根、人参を、味噌:ヨーグルト=1:1の漬け床に3~4時間漬けたもの。どちらもだしを取った後の昆布を有効活用できるレシピだ。(下)とろろ昆布入りのアイスクリームにりんごのソテーをトッピング。栄養満点な上、美味しい!

 福岡で予約殺到の講座が新開講すると聞きつけ、取材に向かった。その名も「乾物かきくけ講座」。教室を覗くと、男女幅広い年齢層の生徒で席が埋まっていた。

 気になる講座名の意味だが、「か→簡単・軽い、き→キレイの素、く→腐らない、け→経済的、こ→子どもに伝えたい」だそうだ。なるほど、端的である。

 干ししいたけや切り干し大根、昆布、するめ、煮干しなど、地味でマイナーな印象を持たれがちな乾物だが、最近、その良さが見直され、注目度はにわかに上昇しているのだ。

 きっかけとして挙げられるのは、災害時への備えや節電意識の高まりなど、私たち日本人の大きな意識変化。冷蔵庫なしで長期保存でき、火を使わずに調理が可能な乾物は、「身近な非常食」というわけだ。

「震災後、乾物の良さを再認識された方も多いようですが、いざ手に取ってみたときに使い方がわからず、結局は“宝の持ち腐れ”になることも。講座では、乾物を普段の食卓に活かすためのヒントをたくさん伝えていきたい」と、講師の小西良依先生は話す。

 初回のテーマは「昆布」。多彩な試食を交えつつ、その歴史や産地、レシピにいたるまで、昆布の魅力が余すところなく語られた。今後、講座は毎回テーマを変えつつ、月1回のペースで開かれるそうだ。

 確かに、乾物こそ今の日本に求められるべきアイテムなのかもしれない。ファストフードで疲れた現代人の胃をやさしく癒し、非常時の食卓を支え、食育の担い手としてもまた、脚光を浴びている乾物。これほど英知に富み、力強い食材が他にあるだろうか。

 視点を変えて、生産者側から見てみても面白い。地元ならではの食材の“旬”を保存でき、軽くて運搬も簡単であるという利点を活かせば、地方におけるスモールビジネスのチャンスをまだまだ秘めているのではないか。埋もれている素材は? 意外な組み合わせは? 伝統と新しい感覚の融合により、思わぬヒット商品が生まれる可能性は高い。

 どんなに時代が巡っても、私たち日本人がホッとでき、懐かしいと感じる味は「だし」であり、その中の「うまみ」だ。乾物は古くから脈々と受け継がれてきた日本人の知恵の結晶であり、文化である。私たちには、それを未来へつないでいく義務がある。まずは、その美味しさを大いに堪能することから始めようではないか。

(おおたゆうこ/5時から作家塾(R)