いま私は、クレーマーの自宅を訪問しても、足のしびれを我慢するようなことはありません。最初は正座をしていますが、頃合いを見計らって相手にこう切り出します。
「大変申し訳ありませんが、足を崩させていただきます」

 もし、足を崩すことも許されなければ話し合いを拒否されたとみなし、「今日は話し合いに応じていただけないようですから、出直します」と言って、さっさと辞去します。

 このたび、大手流通業でのクレーム対応・トラブル解決の経験と、独立後のサービス業から小売り、メーカーに至るさまざまな企業や医療機関などでのコンサルティング経験から、現場で役立つ原則と技術を『現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書』としてまとめました。

 本書では、相手と向き合うための「手順」と「実践テクニック」を、事例を紹介しながら解説しています。本書が困難なクレームを乗り越えるための羅針盤になることを心から願っています。