英国の貴族院に似た
諮問会議である“政協”

 次に、中国人民政治協商会議(“政協”)を見ていこう。

 政協の公式サイトによれば、「人民政協とは、中国人民による愛国統一戦線組織であり、中国共産党領導による多党合作と政治協商を展開するための重要機構であり、中国政治生活の中で社会主義民主を掲げる重要な形式である」と記されている。

 中国共産党用語であるため分かりにくいが、私なりの理解に基づいて簡潔に政協の機能を表現すれば、「共産党一党支配下において、党指導部に政策提言をする諮問機関であり、英国の貴族院(上院)を彷彿させる」となる。

 英国の両院制は「庶民院(House of Commons)」と貴族院(House of Lords)から成る。議会制民主主義という意味では、公選制である庶民院に政治の実権はあるが、貴族院は庶民院(下院)が通過させた法案を審議・修正する役割を担っている。

 貴族院議員は国民によって選ばれたわけではないが、特定の分野で専門知識や職務経験を持ち、且つ爵位を持つ所謂“貴族”によって構成されている。英国の歴史における貴族のステータスに関係しているのかもしれないが、貴族院における人員や機能に対する国民の信頼度は低くないようだ。民主的に選ばれた国会議員ではないが、英国型の議会制民主主義を形成する過程で、貴族院が独自の役割を担ってきた歴史的事実は特筆に値するだろう。

 中国人民政治協商会議第一回会議は中華人民共和国成立前の1949年9月21日に開催されている。初代主席は毛沢東で、二代目主席が周恩来、三代目が鄧小平と、中国政治における政協の政治的地位は軽視できない。また、共産党だけでなく民主党派や各界の代表、また香港・マカオ、台湾関連の委員も名を連ねている。

 参考までに、今季政協委員の内訳を見てみよう。

・ 中国共産党員98人
・ 中国国民党革命委員会64人
・ 中国民主同盟65人
・ 中国民主建国会65人
・ 中国民主促進会45人
・ 中国農工民主党45人
・ 中国致公党30人
・ 九三学社45人
・ 台湾民主自治同盟20人
・ 無党派人士65人
・ 中国共産主義青年団9人
・ 中華全国総合労働組合62人
・ 中華全国婦女連合会67人
・ 中華全国青年連合会30人
・ 中華全国工商業連合会64人
・ 中国科学技術協会43人
・ 中華全国台湾同胞聯誼会15人
・ 中華全国帰国華僑連合会28人
・ 文化芸術界145人
・ 科学技術界111人
・ 社会科学界69人
・ 経済界153人
・ 農業界67人
・ 教育界111人
・ スポーツ界21人
・ メディア出版界44人
・ 医薬衛生界89人
・ 対外友好界41人
・ 社会福利・社会保障界36人
・ 少数民族代表103人
・ 宗教界66人
・ 香港代表124人
・ マカオ代表29人
・ 特別招聘人士161人

 という構成になっている。少なくとも表面的には多岐に渡る人々が政府の諮問会議に参加している現状が見て取れる。