全三回に渡って中国“民主化”と“反日”の相関性を検証している。

 前々回では「“民主化”で“反日”が緩和しない3つの理由」を、①体制と国情、②韓国のケース、③日中関係とナショナリズムという3つの側面から検証した。

前回コラムでは、「中国共産党の正当性としての“反日”は弱まっている」現状、あるいは傾向をお届けした。“反日”→“反党・反政府”→“崩壊”→“民主化”というシナリオがどのくらい現実味を帯びているのかを、私の実体験を紹介しつつ考察した。

 最終部分において、「“反日”が引き金(トリガー)となり、“民主化”という結末(クライマックス)を迎える局面が、果たして中国社会や中国と付き合っている国際社会にとってポジティブで歓迎すべきプロセスなのだろうか?」という問題提起をした。

 中国にとって健全な民主化プロセスとはどうあるべきで、そのために、表面的には対外的(あくまでも外国という意味)だが、根源的には対内的(中国共産党の正当性に深く絡んでおり、“反日”→“反党・反政府”→“崩壊”というロジックが成立してしまう可能性があるという意味)な“ジャパン・ファクター”はどのような役割を果たすべきなのだろうか?

 短期集中考察の最終回となる本稿では、この問いの答えを探っていく。

“政治の季節”に日本を徹底非難する
中国共産党の真の狙い

 いま現在、中国は政治の季節を迎えている。

「中国人民代表会議」と「中国人民政治協商会議」という2つの政治会議が同時に開催されることから、「両会」と呼ばれている。毎年3月に北京で開催される「両会」では、党・政府の首脳陣が次々と登場しては、政治・経済・外交・軍事・民生などあらゆる分野における政策方針を発表していく。

 会議が開かれる人民大会堂(天安門広場西)には国内外のメディア関係者が常時待機しており、首脳陣からの報告を聞いたり、記者会見で質問したり、普段はなかなか実行しにくい突撃取材を敢行したりもする。年間を通じて、もっともあらゆる情報が飛び交う“政治のお祭り”としての色彩を帯びている。