前回から3回に渡って中国における“民主化”と“反日”の関係を集中的に考察している。壮大なテーマであるし、中国の体制・国情・歴史、そして中国人の国民性・現状認識・生存環境などあらゆる側面や要素に話が及ぶだけに、両者の相関性に対して安直な結論を導くことは危険であると前回コラムで指摘した。

 第一回目となるその前回コラムでは、「“民主化”で“反日”が緩和しない3つの理由」を、①体制と国情、②韓国のケース、③日中関係とナショナリズムという3つの側面から検証してみた。

 それを受けて、二回目となる今回は、本連載でも度々登場してきた「中国共産党の正当性」という観点から“反日”の持つインパクトを考察してみたい。昨今における「中国共産党の正当性」が一体どのように成り立っているのか(正当性の根拠)を整理しつつ、日本という中国にとっての対外ファクターが共産党政権に及ぼす重要性の「中身の変遷」にも目を向けてみたい。

“反日”から“民主化”へ
想定されるシナリオ

 反日→反党・反政府→中国共産党一党独裁体制の崩壊→民主化

 このようなロジックで“反日”と“民主化”の相関性を想定したことはないだろうか。

 私はある。

 あるどころか、将来的に(可能性が何%かは別にして)起こりうる一つのシナリオとして捉えている。

 より具体的に、シナリオを描いてみよう。