目玉は3Dプリンターに40億円
予算化は評価できるが額が極小

 そろそろ、本質論に踏み込んでいきましょう。

 資料の11、12ページには、「平成26年度予算における重点施策について」とあります。毎年、予算には時流を捉えた施策が“目玉”として掲げられますが、まさにこれです。

 政権や政治家にとっては自分が予算を取ってきたかどうかの実績、そしてマスコミはニュースのネタとして、意義付けをしたいわけです。今回でいえば、『先端技術、ものづくり』のところで、「次世代型産業用3Dプリンターの開発」が“目玉”扱いされています。

 IT社会のモノづくり産業を振興する上で欠かせないものなので、ぜひやっていたただきいのですが、肝心の金額はわずか40億円に過ぎません。兆単位の国家予算の中で、中小企業の新規投資分程度しか確保されていません。こと研究開発という点で比較すると、トヨタ自動車1社で7000億円を投下しています。

 3Dプリンターの開発というのは、製造業の根底を揺るがす大変大きなイノベーションです。製造業において金型づくりというのは、決定的に重要で、特に日本の強みも金型にありました。この金型によるものづくりにとってかわる可能性が3Dプリンターには潜んでいます。

 今、米国などに先行されていますが、この対応を誤ると、日本の製造業の存立基盤が一挙に揺らぐ可能性すらある大変重要な課題です。この点を、一丁目一番地に挙げた点は評価しますが、その割には、この少額予算はないだろうというのが率直な印象です。

日本の民主主義が抱える
予算配分構造の硬直性

 この一事をもって、高支持率を誇る安倍政権をもってしても、財政赤字のなかで、政府主導で新規産業振興に巨額予算を投ずることがいかに難しいか、よくわかります。民間企業の場合は、メリハリをつけた投資ができますが、政権維持のためには、どこかの予算を思いきり削って、明白な敵をつくるわけにはいかない。特に、予算を切られたほうは恨みが残り、予算をつけたほうは、ニーズがあるのだから当然だと思うのが世の常。既存予算のカットは、結局、従来の支持者は減らし、新たな支持者はあまり増やすことはできないので、新規予算のための財源捻出は本当に難しい。

 安倍政権批判をしているのではありません。むしろ、安倍政権批判に終わらせてはいけません。

 私が強調したいのは、日本の民主主義下での予算配分構造の硬直性の背景です。