従って、最近の値上げによる短期収益への影響を株価が織り込んだ後、株式市場の焦点は、中長期的な成長戦略にシフトすると予想する。特に、(1)海外展開、(2)電力事業、等については、要注目と考える。更に、他の素材業界が将来的な内需縮小を鑑み、再編や設備統合を行ってきている中、製紙業界で同様のことが可能かといった点にも注目している。

注目企業は王子HD、日本製紙

 我々が調査対象とする4社の事業構造の特徴は、次の通りである。レンゴーの事業は板紙・包装にほぼ集中。段ボールでは川上(段ボール原紙)から川下(段ボール製品)までの垂直型の事業構造を持っている。ちなみに、国内では段ボールでトップ、段ボール原紙で2位のシェア。王子HDも相対的に板紙・包装製品のウェイトが高い。売上高に占める割合は、板紙・包装製品で約4割、印刷情報用紙関連で2割強と推測する。また、パルプや木材といった製紙原料事業が比較的大きく、売上高の1割弱を占める。

 一方、北越紀州製紙は印刷用紙のウェイトが高く、当該製品が売上高に占める割合を6割以上と推定している。日本製紙は総合製紙企業だが、新聞用紙や印刷情報用紙といった情報媒体の紙のウェイトが相対的に高く、こういった分野での売上高が全体の約5割を占めると推測している。国内シェアは、新聞用紙、印刷用紙、情報用紙でそれぞれトップである。

 その中で、中期的な観点から、王子HDに注目している。事業構造転換が進展し、海外事業を中心に、トップライン(売上)拡大の可能性が出てきている点を評価した。ただし、いまだに8割の売上高を占める国内事業のうち、段ボール原紙・製品の価格体系の揺らぎは懸念材料。(1)当該価格体系の立て直し、(2)中国の印刷用紙・パルプ事業の収益改善、の兆しが出てくれば、一段の高い評価につながると考えている。

 日本製紙は、総合バイオマス企業として、セルロースファイバー事業や売電事業にも力を入れる姿勢を示してきている。当社は東日本大震災で主力工場に大きな被害を受けたが、復興計画を完遂。主力の印刷用紙の収益水準訂正も一定度進展させてきた。今後の当社の成長戦略とキャッシュの使途に注目したい。北越紀州製紙は、主力の印刷用紙の価格維持への施策と値上げ後の成長戦略が焦点となろう。レンゴーは、現状、揺らいでいる段ボール原紙・製品の価格体系を再構築できるかが最大の注目点である。