さらに、あと10年か…と残り時間が意識されると、自分の仕事人生の完成が同時に意識される。自分の職業人生の完成度を高めたい、これはごく自然な感情として湧き起る。この実に素直な気持ちが、有終の美を生む元だ。そのために何を成し遂げ、有終の美を飾るか。誰に褒められる訳でもないが、自分の仕事人生を納得いく形で締め括れれば、それは働く者にとって本望であろう。

 このセッションは、残り時間で会社に何を貢献するか、また自分の職業人生の締めくくりとして何をするか、を話し合う。やっておきたかったこと、気がかりなプロジェクトや人材育成の話が多い。何か自分なりの集大成の仕方を考える。そんな気付きを「有終の美を飾る」セッションで感じてほしいと願っている。

【提案6】シニアの活かし場所を確保するには?
働く場の確保は、社内・社外と柔軟に対応を

 これまでシニアの再雇用は、定年後、肩書だけ外して直近の慣れた職場で元の仕事に関係の深い仕事を担当させ、あとはほとんど現場管理者に任せるやり方が多かったように感じる。しかし、今後増え始めるシニアの再雇用対象は、管理者、実務者、専門性のある方ない方、女性、障がい者の方など、従来対象としてこなかった方々などに、数の増加とともに、職種も多岐にわたるようになるだろう。

 おそらく、シニアに馴染みのある職場で、再雇用を実現させあとは現場管理者に任せる。最小の労力で活用度を高くできた従来のやり方が、徐々に困難になるように思える。現状は、自社内での再雇用場を確保するところが多く、元管理者が営業担当者として働くなど職務開発的な色彩も強いが、今後はグループ子会社などへの出向や転籍などを前提とした職域開発も必要になってこよう。

 現状、ミドル・シニアのキャリア問題の相談は、企業のキャリア相談室スタッフが中心になって相談・指導を担っている。今後、再雇用希望者が増え始めるとおそらく社内の既存組織だけで需給調整を行うことは困難になってこよう。

 現実味のある対応でいえば、50人・100人と人数規模が増えれば、この雇用を賄うに足る人材サービス会社や特定サービスを担う事業部門や子会社を立ち上げることも、視野に入れておく必要がある。職務開発担当者の個人マッチングの努力レベルの話ではなく、経営として重要判断が必要となるケースも出てこよう。

 また、企業の経営状態によっては、シニアの再雇用職場の確保自体が困難な企業は、自社やグループでの再雇用よりも社外に出向先を求めるなどの動きも出てこよう。社内外にシニアの活かし場所を探したり作ったりする、職務開発や職域開発に従事する人事担当者の役割は、かつてのリストラ時代に出向・転籍先を探し社内マッチングを促進していた頃より、もっと重要な仕事となろう。

 企業の中で活用しきれないシニア人材は、やはり外の雇用で賄うしかないのだ。