前職のつながりが人脈になるかは
「最終印象」次第

 当社で中途採用した人には「前職で得たものは全部前の会社に置いてきなさい」と言っています。そのかわり、「うちを退職するときも全部置いていきなさい」とも伝えています。あくまで会社としての活動で得たものは、その会社の人たちの共有財産になるべきだからです。また、共有財産を生み出せない人を採用しても会社のためにはなりません。

 わざわざ前職で得た名刺を持ち出さずとも、仕事で成果を残してきた人ならそれまでのつながりがすべて自分の人脈になっているはずです。たとえば半年ほど前に人材紹介会社、IT会社を経て当社に入社した女性は、これまでのキャリアのなかで得た人脈を駆使してウェブやシステム関連の業務で大活躍しています。

 彼女は以前勤務していた会社でつながりのあったベンダーやコンサルタント、フリーランスのエンジニアから情報を取り、業務を推進してくれているのですが、そうした人脈は前職から持ち出したものではなく、今までの仕事を通じて彼女が築いてきた財産です。

 名刺を前の会社に置いてきても仕事を通じて信頼関係のできている相手なら、会社の代表電話から連絡すればご縁はすぐに復活できます。相手の名前やオフィスの場所まで忘れることはないでしょうし、代表電話も会社のホームページに記載されています。信頼関係さえあれば何の問題もないのです。

 見方によっては、転職とは自分にとって必要な人脈をつくりにいく行為ともいえます。その人が信用できるかどうかは、一緒に仕事をした人が一番よく知っています。新たにその職場で働くことを通じ、自分が信用できる相手を増やすとともに、自分を信用できると思ってくれる人を増やしていくわけです。

 しかし、円満退社の努力をせず「最終印象」が悪くなると、せっかく築いた人脈も無に帰してしまいかねません。やはり立つ鳥は跡を濁してはいけないのです。