●工程図とフローチャート
 ギルブレス夫妻が研究を始めた頃、ヘンリー・ガントがやがて「ガント・チャート」として知られるようになる構想を展開した。ガント・チャートとは、計画を記録し進行中の仕事を管理するシステムである。フランクとリリアンはガント・チャートを研究に活用し、自分たちの工程図とフローチャートをこれに加えた。これらの新しいツールによって、仕事を完成するために遂行しなければならない要素が図式化して示されるようになった。

●マネジメントの心理学と人事問題
 従業員の福祉の重要性は、ギルブレス夫妻の研究全般に反映されていた。フランクは従業員の疲労やストレスを最小化することに心を砕いていたし、インセンティブ、昇進、従業員の福利厚生の問題は2人に共通の関心事だった。リリアンは産業心理学の生みの親ではないものの、彼女の博士論文研究は産業における人的要素の重要性への認識を喚起した。

 多くの出版社がこのような技術的問題を扱った女性著者の本を出版するのを拒否したが、『職場の心理学』(Psychology in the Workplace)はついに分冊で産業技術者協会より1912年から1913年にかけて出版された。ギルブレス夫妻の産業心理学に対する興味は生涯色あせることはなく、それはリリアンが失業や軍需生産から高齢化や障害者問題に至るまでさまざまな米国政府の委員会に参加していたことを見てもわかる。

プロフィール
1868年 フランクが生まれる
1878年 リリアンが生まれる
1885年 フランクが作業単純化理論を開発する
1895年 フランクが技術コンサルティング会社ギルブレス社を設立する
1890年代 フランクがF.W.テイラーとともに管理科学促進協会を設立
1904年 フランクとリリアンが結婚。12人の子供を持つ
1912-1913年 リリアンの著書『職場の心理学』(Psychology in the Workplace)が産業技術者協会より分冊で出版される
1915年 リリアンがブラウン大学より応用マネジメント研究の博士号を取得
1921年 リリアンが産業技術者協会の初の女性会員となる。後にアメリカ機械学会の初の女性会員となる
1924年 フランク死去。リリアンがプラハの国際経営会議にてフランクの論文を発表
1925年 リリアンは動作研究セミナーやコンサルティングでギルブレス社の仕事を続ける
1972年 リリアン死去。女性で初めてギルブレス・メダル、グラント・ゴールドメダル、CIOS(国際科学的経営管理協議会)ゴールドメダルを受賞。現在までのところ唯一の女性受賞者である
1995年 リリアンが全米女性殿堂入り