今年度の経常利益目標をすでに達成。好業績に沸く大和証券グループ本社だが、リストラで海外を縮小し、国内営業人員の拡大も限定されそうだ。成長に向けた次なる一手が見えない。

 3月28日の終値は、652円に対して、881円。国内証券最大手の野村ホールディングスよりも、2番手である大和証券グループ本社の株価が大きく上回っている。2011年9月に初めて大和が野村を上回って以来、一進一退が続いてきたが、昨年7月ごろから、その差はかなり顕著になった(図(1))。

 13年度第3四半期決算は、累計の経常利益で12年度通期の4.5倍の1586億円をたたき出し(図(2))、中期経営計画の目標だった14年度通期の1200億円をすでに上回っている。

 経常利益の半分強を占めるリテールが好調だった上、過去の赤字の元凶だったホールセール部門の収支が改善したことが大きい。同部門は、12年度第3四半期から5期連続で黒字を計上するほどに回復した(図(3))。

 さらに、子会社化していたホールセール部門を12年度からリテール部門と統合。ホールセールで組成した仕組み債をリテールで販売するなど両部門の連携がスムーズになった。

 とはいえ、大和が抱える構造的な課題はまだまだ多い。

 例えば、リテールの預かり資産残高は50.5兆円で、野村の半分程度。国内営業人員も同程度の差があり、日比野隆司社長は昨年5月16日の投資家向け説明会で「営業人員を数年で5割程度増やす」とぶち上げた。

 だが、その翌週に「5・23ショック」で日経平均株価が急落。「方針転換を迫られたのは間違いない」(外資系証券アナリスト)。13年度は、首都圏や関西地方の郊外住宅地での九つの小規模店舗の出店にとどまる。