グローバルなテクノロジー企業のR&Dと起業家が同居

 起業家目線に立つ。起業に限らず、新規事業は、必ずしも成功するものではない。これは、イスラエル人のスタートアップ企業でも同じで、「イスラエル人」だからその確率が格段に高まるわけではない。「発明」や「発明を元にした技術」、アントレプレナーシップがあるからといって、必ずしも成功はしない。弊社が独自に調べた過去7年のデータでも、2社に1社は確実に失敗している。このデータは、現時点の情報なので、恐らく3社に2社ぐらいは確実に失敗していくだろう。

 起業家だけでなく、「ゼロ」から「イチ」を生み出せる人材にとって、グローバルなテクノロジー企業の研究・開発拠点が多いことは実に都合がいい。まず、こうした企業では、自分の研究・開発がそのまま世界展開へとつながる可能性がある。それに加え、そうしたグローバルなテクノロジー企業がどういったテーマを持っているのか分かるし、どうやって、グローバルにマーケティングするかもわかる。また、徴兵制で軍事の最新技術に触れた後の受け皿としても、最適だろう。

 エンジニアで起業したい人にとっては、インテルにいて、マイクロソフトに移り、その後、自分で会社を興し、失敗しても、グーグルで働く。また、機を見て起業、というようなキャリアの絵を、非常に描きやすい。事実、私のイスラエルの知人のなかにもこうしたキャリアを持つ人は多い。こうした人材の流動性が高いことも、イスラエルの特徴の1つだろう。