現地マイクロソフト・ベンチャーズのアクセラレータでディレクターを務めるハナン・ラビィ(Hanan Lavy)氏も、そうした1人である(同氏には2012年11月、サムライベンチャーサミット・イスラエル開催の際、無償で会場を提供していただいた縁がある)。彼は、イスラエル空軍で兵役についた後、数社を経て、ヒューレットパッカードに在籍後、起業し、その後、マイクロソフトのアクセラレータの職務に就く。ひょっとしたら、1~2年後にまた、起業をしているかも知れない。

 このように、何度も起業していける起業家予備軍を支えているのが、グローバルなテクノロジー企業である。当然、前項のヤニ・ゴールドフィンガー氏のように大きなイグジット(Exit)を得れば、投資する側に回り、独自のエコシステムを形成していく。本稿では環境面だけにフォーカスしたが、最後に、イスラエル人は、他国の人に比べてリスクを取るマインドセットが強い、ということを付け加えて、本稿は終わりにする。


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世界的不況の中でも経済成長を続けるイスラエル。世界的IT企業が買収したがるスタートアップ企業を輩出し、研究開発拠点や先進的な生産拠点が置かれるのはなぜか? 建国の経緯、軍隊のあり方、産業政策などを取材と調査・分析により生き生きと描きだし、停滞する日本企業のイノベーションに多くの示唆を与える。

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