自動車産業が従来のモノづくりの枠から大きく踏み出そうとしている今、自動運転を中心としてイスラエルがイノベーションの拠点になろうとしている。日本メーカーも含め、昨年から加速する動きとその背景を報告する。
インテルの自動運転関連技術は
イスラエルを中心に展開していく
前回の連載でもお伝えした通り、米国の半導体メーカーでイスラエルに1万人以上の従業員を抱えるインテルは、モービルアイの買収を2017年8月に完了させた。買収総額は、約150億ドル(約1兆6500億円)である。
イスラエルにおける2015年、2016年のスタートアップの買収総額は、1兆円を超えたが、この総額をモービルアイ1社で超えてしまった。2017年の買収総額は、9月時点で、すでに2兆円を超えている。
イスラエルでは、年間800~1000社程度企業が新たに設立され、80~100社程度が買収されていく。2017年の9月末時点で、75社がこれまで既に買収されている。今年はIPOする企業もここまで10社程度あるが、イグジットの8割強は、例年通り企業買収によるものである。
インテルによる買収により、モービルアイの共同創業者兼会長のアモン・シャシュア (Amnon Shashua) 氏がインテルの自動運転事業の責任者となった。実質、インテルの自動運転関連技術はイスラエルを中心に展開していくであろう。