セールスとクオリティーの両立

 じゃあ、それだけ憧れたロック黄金時代のSuperfly流の再現がビジネスとして成り立つのか?という問題があります。ロックが巨大ビジネスへと変貌を遂げて以来、セールスとクオリティーの関係は、アーティスト側にとっても会社側にとっても問題となってきました。

 しかし、Superflyはこの問題に明快な回答を出しています。

 それは、本当に自分がやりたい音楽をやれば結果はついて来る、ということです。

 勿論、四国の学生バンドから始めたSuperflyがプロを目指し始めた当初から、順風満帆だった訳ではありません。が、嘘偽りのない曇りのない心で本物のロックを究め鍛錬すればファンがついて来るのです。

 一方、売れるためなら何だってやる、売れることが目的だ、というセールス至上主義が跋扈しているのが芸能界です。売れることが悪い訳ではありませんが、クオリティーに疑問なしとしない芸能にもファンが集う世の中です。そんな中にあってSuperflyは特異な存在です。

 デビュー・アルバム「Superfly」は、発表直後にオリコン/ビルボード・ジャパンのチャートで初登場1位になりました。セールスが常にクオリティーを保証する訳ではありませんが、この音盤はセールスとクオリティーが両立しています。

 その後のアルバム(写真右)も全てチャート1位を獲得しています。

 Superflyは、日本のロックミュージック界にあって独自の境地に至っています。

ソロ・ユニットと
新しい音楽制作の形

 さて、Superflyは、厳密に言えば、越智志帆のソロ・ユニットです。

 それでも、Superflyの核心は越智志帆のヴォーカルと多保孝一の作曲にあります。何故ならば、越智のヴォーカルが最大限生きるのは、多保の曲だからです。ロックの黄金時代を現代の日本に再現できるのは、この二人の共同作業です。そこに、蔦谷好位置の抜群の編曲が加わることであのSuperflyサウンドが生まれます。

 だから、ライブ・公演はサポートメンバーでやっても、スタジオでのアルバム制作は、越智と多保の二人三脚で続けています。

 この状況はある意味、1966年秋のサンフランシスコ公演を最後にライブを止めたビートルズに似ていなくもありません。公演は行わず、スタジオ内で音楽的な実験に打ち込むのです。観客の歓声はありませんが、思う存分に音楽を創れます。多保孝一は自らをそんな環境に置いた訳です。新しい音楽制作の形が生まれつつあるようです。