体育会系の部活動に、なんらかの“内定がもらえる共通点”というものが存在しているのではないか――。

 その共通点を探っていくうちに、ひとつの仮説を立てたのが“勝ち癖”という競争心理の育成だった。体育会系の部活というのは、基本的には、「勝つために何をすればいいのか?」ということを追求する団体である。練習をしたり、話し合ったりしながら、お互いにスキルを高めあって、勝負に挑む。そして勝った喜びを味わったり、負けた悔しさを味わったりしながら成長して、“勝ち癖”を身につけていくのである。

 もちろん、部活動の中にはチャランポランな部活もあったり、本人は部活に所属していても幽霊部員だったり、勝負に挑む姿勢はまちまちではある。また、文化系でも吹奏楽部や合唱部のように、大きな大会が存在していて、それに向かってストイックに活動する部活も存在している。だから、絶対的に体育会系の部活だけが、“勝ち癖”が身につくとは限らない。しかし、多くの人は、何かしらの部活動に参加するとことで、勝負の喜びと厳しさを学ぶという環境に身を置くのである。つまり、若いうちに“勝ち癖”を学ぶのであれば、中高生の頃の部活動、特に体育会系の部活が、もっとも身に着けやすい環境といえるのである。

 その部活動で学んだ“勝ち癖”という気質が、もしかしたら、企業が欲しがる人材とマッチングしているのではないか――つまり、「こいつは仕事ができるんじゃないか?」という雰囲気を、一瞬のうちに醸し出す力が、“勝ち癖”によって身につけられているのではないかと考えたのである。

 部活動は「競争心」や「勝ち癖」を養うだけではなく、先輩や後輩との上下関係や、顧問の先生やコーチとの接触によって、世代の違う人たちとのコミュニケーションスキルを磨く絶好の場と言える。特に“人に好かれる”“第一印象をよくする”というスキルは、このような思春期の対人関係の構築によって、無意識のうちに叩き込まれる能力と言っても過言ではない。レギュラーを獲得するために、競争組織の中で「私、できます!」的なアピールをずっとし続けてきた学生と、競争すら存在しない生活を送ってきた学生とでは、やはり、就活の際に醸し出す雰囲気が違っても、致し方ない状況と言えるだろう。

 また、最近では、うつ病等の精神的な問題を抱える社員が増加傾向にあることから、メンタル面の強さを面接で探る企業が増えている。その精神的な強さを理解してもらうためには、「体育会系」という部活動の経験は、第三者にメンタル面の強さをアピールしやすい条件のひとつと言えるだろう。

 ただし、今回は職種のジャンルを問わず「就活」というテーマで調査したこともあり、全ての職種において体育会系が有利とはいいがたいところがある。例えば、クリエイティブな能力が求められる制作関連の仕事や、特殊な知識と能力が求められる技術職の場合は、体育会系特有の能力を必要としない可能性もある。そのため、この仮説は全ての事例に当てはまることではない。

 しかし、フィーリング重視の「面接」というテストにおいて、一部の人に採用が偏ってしまう現状を考えれば、やはり部活動から得られる“勝ち癖”が、人に好かれる雰囲気を作り出すベースとなっていると考えた方が、しっくりくるところがあると言える。