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「昨年に比べて今年は3倍以上の問い合わせが来ている」
アスリートプランニング社長の山崎秀人の元には、ある特徴を持った学生を求めて大手企業からひっきりなしに連絡が入ってくる。
その特徴とは、勉強だけでなくスポーツもでき、組織文化に慣れ、何よりタフで折れにくい心を持ち合わせていること。企業が新卒採用で必ず押さえておきたいと考える人材だ。
これは、大学の部活を4年間全うした「体育会系」の学生のこと。実は、山崎は体育会系に特化した人材紹介を展開している。全国の大学約400校で体育会系学生のネットワークを持ち、毎年約8000人の学生と面談、「顔の見える」関係を築いて企業に紹介しているのだ。
通常、学生が就職支援サイトに登録、企業は就職情報をメールなどで提供する。だが、限られた情報のため双方の溝はそう簡単には埋まらず、採用のミスマッチが後を絶たない。
だが、アスリートプランニングであれば学生はすべて体育会系で、個別面談を重ねて企業に紹介するため、企業のニーズに合った人材を提供することができる。
しかも社員らは部室や寮に出入りできるほどのつながりを持っている。影響力のある主将らを押さえて、学生同士のつながりから得た情報を基にデータベースを構築しているから、学生の性格から内定状況に至るまで細かい情報をつかみ、マッチングにつなげていくことが可能なのだ。
学生にとってもアスリートプランニングの支援は心強い。体育会系は練習に時間を取られ、就職活動に関する情報収集をする暇がない。そこに、あたかも「先生」のような相談役がいるからだ。
山崎は、体育会系の人材を提供するというニッチな市場を開拓して会社を成長させてきた。
だが、ここまでの道のりは決して平坦なものではなかった。