“今”を見せたがる学生と、
“今まで”を知りたがる企業

 さて、今回、“部活”と“アルバイト”の2つのアンケート調査を考察して見えてきたのは、就活では“今”よりも“今まで”の能力を重要視している点である。

 学生は企業側に対して、“今の自分”を見てほしいとアピールしようとするが、企業側はその学生の本質を見抜こうとしているので、その人が育ってきたプロセスの“今まで”を探ろうとしているのである。

 “今”を演じる学生と、“今まで”を探る採用側――。

 このように、需要と供給で求めているものに大きなズレが起きているために、学生は就活に苦戦するのである。「部活動」という“今まで”のコンテンツでは内定獲得数に差が出て、「学生アルバイト」という“今”のコンテンツでは、あまり内定獲得数に差が出ないという調査結果になってしまうのである。

なぜ体育会系の学生は就職にまったく困らないのか <br />彼らに学ぶ「内定がもらえる人の共通点」

 そう考えれば、今の就活のテクニック本に書かれている内容が、いかに付け焼刃なものになってしまうのかが理解できるはずである。面接官に好感を持たれる態度の取り方や、返答の仕方などが、こと細かく就活本に記載されているが、そのような学生が取り繕った付け焼刃の“第一印象”などは、面接官にはいとも簡単に見抜かれてしまう可能性が高い。

 面接官をしているのは、40~50代の中高年のサラリーマンたちである。この年齢になるまで、社会でたくさんの良い出会いがあり、そして、それと同じぐらい、精神的に追い込まれるほどの辛い出会いも、彼らはたくさんしてきているはずである。

 長い間、サラリーマンをやってきて、騙したり騙されたりを繰り返したことで、少なからず、この人が信じられる人間なのか、それとも信じられない人間なのか、第一印象や言動ですぐに判断できる目は養われていると言ってもいいだろう。

 人生の達人たちを前にして、人生経験の浅い、まして仕事の修羅場もくぐってきていない学生が、面接官に対して印象を良くするために、小ざかしいテクニックで対抗しても、簡単に見抜かれてしまうことは明らかである。