減少を続けるビール市場の中で、唯一伸びるプレミアムビール。主戦場となるギフト市場に、今年は全社がプレミアムビールをぶつける。2014年ビール夏の陣の前哨戦を追った。
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Photo by Yoko Suzuki
キリンビールはこの夏、10年ぶりにビールの看板ブランド「一番搾り」のギフト専用広告を本格的に再開する。サッポロビールの「ヱビスビール」から俳優の役所広司を奪還してブランドキャラクターとして起用し、6月からCM放映を開始するという。
2014年は一番搾りへの広告投資を昨年の2倍に増やし、ギフト専用商品としてこの中元期から投入する「一番搾りプレミアム」を最大の目玉に位置付けた。
一番搾りプレミアムは低温で搾った極上一番搾り麦汁と、秋田産の第1等品ホップを使用。ブラウマイスター(ドイツのビール醸造資格)を持つ醸造家が責任監修し、醸造家からの手紙も同封する。キリンはプレミアムビール市場では最後発だが、この投入で一気に「一番搾りのブランド価値、そしてギフト市場でのプレゼンス。この両方を高めてみせる」と和田健一郎・キリンビールマーケティング部商品担当は意気込む。
ギフト市場への投資を増やすのはキリンだけではない。役所広司を奪われたサッポロも今年はギフト限定CMを定番のヱビスと中元期専用の限定商品「夏のコク」の両方で打つ。「ギフトは贈る側ともらう側両方にブランドの接点があり、ここで勝つことがブランドに与える影響は極めて大きい」と出合友洋・サッポロビールヱビスブランドグループマネージャー。サントリー酒類も4~8月のテレビCM出稿量のうち2割以上をギフトCMに振り分ける。この夏、テレビでは各社のビールギフトCMが大量に放映されることになる。
家庭用缶ビール市場に占める、中元・歳暮期のギフト市場は1割にも満たない。にもかかわらず、なぜ、この夏は各社がこぞって宣伝投資を増やすのか。