英国の成長戦略と税制改革

 法人税減税による経済成長を目指しているのは日本だけではない。最近の例としては、英国が挙げられる。ここで英国での成長戦略と税制改革を紹介しよう。英国では、2010年の選挙で政権が交代し、保守連立政権が誕生した。同政権は、労働党政権下で悪化した財政を立て直すべく、財政再建と経済成長を重視しており、2011年3月に、英国財務省は、成長戦略(“The Plan for Growth”)を発表した。同戦略では、4つの戦略目標が掲げられているが、その第1番として挙げられているのが、G20諸国において最も競争的な税制の構築である。戦略の達成度を図る指標やその手段が明確に書かれており、ウィッシュリストである日本の成長戦略とは雲泥の差がある(詳細は、DOL特別リポート・13年6月13日を参照)。

 英国の税制改革のポイントは、租税政策の立案過程の刷新、法人税改革の工程表、予算編成における財源の確保の3点である。英国財務省は、「租税政策の立案:新しいアプローチ」(2010年6月)と題するレポートを発表している。レポートでは、従来の税制改正手続きについて、①税制についての明確な戦略の欠如、②意思決定の最終段階になってからの意見聴取、③長大で複雑な税法と規則、④税制改正の規模やタイミングの不確実性、⑤議会での不充分な審議といった問題を指摘し、税制改正の枠組みや方法を抜本的に見直す必要があると提案する。

 税制改正の手続きとして、租税制度の予見可能性・安定性・簡素を高めることを基本的な目的とし、議会での審議前に従来以上にステークホルダーへのコンサルテーションを行うとしている。また、税制改正のアカウンタビリティを高める観点から、第1に、政権交代によって新設された財政責任局(独立財政機関の一種であり、詳細はDOL特別レポート・14年2月3日を参照)が、予算に盛り込まれた税制改正の増減税効果を第三者として精査することになった。第2に、議会での税制改正の審議を助けるため、政府はより透明性を高める取組みを行うとしており、例えば、詳細な税制改正影響分析と税制改正の事後評価を導入する。

 法人税制改革の工程表は、「法人税改革:より競争的な税制に向けて」と題するレポートに盛り込まれている。英国経済の持続的な成長を達成するための民間部門の投資と成長を促す環境整備として、法人税改革が取り上げられている。これは、もともと保守党と自由民主党の連立政権合意に盛り込まれたものである。