レポートでは、法人税改革の原則として、①課税ベースを維持しつつ税率を引き下げる、②安定性を維持する、③グローバル化や技術の発展など最新の動向に対応する、④税制の複雑化を回避する、⑤租税特別措置は可能な限り削減し同じ競争環境を維持する、が挙げられている。具体的な工程表では、法人税率を、2010年の28%から、毎年1%ポイント引き下げ、2014年に24%にするとしている。また、種々の税制改正についてのコンサルテーションのための文書の作成などが行程表に書かれている。

 そして、重要なのが予算における税制改正の取り扱いである。2011年度予算では、歳入歳出にかかる政策変更は、財政再建を予定どおり進めるため、中立とすることが基本原則とされ、公的部門全体(国及び地方)の赤字の対GDP比は、2009年度の11.5%から2015年度の1.5%になると予測している(英財務省の予算資料) 。また、景気循環の影響を取り除いた構造赤字を2014年度までにゼロとするとしており、2015年度には0.8%の黒字になると予測している。ポイントは、予算に盛り込まれている全ての歳入歳出の新規施策について、財政への中期的な影響を分析していることである(表1)。

 法人税率の引き下げで、法人税収は低下するが、銀行課税・環境税・VATの課税強化なども含まれており、特に、租税回避対策や執行強化による税収増も盛り込まれている。歳入全体では、増収となっている。歳出増があるため、2011・12・14年度では、財政全体に対する影響はマイナス(悪化)となるが、5ヵ年全体でほぼ中立となる見込みとなっている。最新の2014年度予算においても、財政赤字を削減しつつも、歳入・歳出にかかる施策は中立的とする原則を貫いている。