遠くない将来、若者による率直な
中台間の意見交換が起こるかもしれない
「中国が台湾のような社会になることが望ましい。その逆は悲劇だ。台湾へ行ったことのある中国人はみんなそう思っているはずだ」(北京大学生)……①
「台湾の民主主義は娯楽化している。政治家は権力闘争に走り、若者は政治に無関心になっている。このままでは台湾の政治は衰退する」(台湾大学生)……②
中国、台湾を代表する北京大学と台湾大学の学生がそれぞれ、異なる場面で私にこう語った。
二人の男子学生は続ける。
「民主主義を不断に進化させる姿勢。台湾はそれを中国に示し続ける必要がある」(台湾大学生)……③
「同じ中国人が台湾で民主化を実現した歴史的事実を私たちは忘れるべきではない」(北京大学生)……④
日本人、即ち第三者である私に対してだからこのようなコメントを発することができたのかもしれない。しかし遠くない将来、中国と台湾の若い世代が、直接面と向かってこのような意見をぶつけ合う日が来るかもしれない。
いや、私的な場面ではすでに起きているものと想像する。自らにクリティカルで、相手に対しても謙虚な姿勢を崩さない。そんな相互交流が当たり前に展開されるようになったとき、政治、経済、文化などあらゆる分野での両岸交流が花開くのかもしれない。
前回コラム(「学運」の背景にある中国台頭への警戒感、台湾の「民主主義」はどう影響を受けるのか)では、中台間の民間交流が深まっている現状や対中関係をめぐる台湾の政治的葛藤、中台若者の民主主義に対する対照的な姿勢と意識をレビューした。
今回コラムの主旨は、台湾海峡を挟んだ現状は中国民主化という本連載の核心的テーマにどのようなインプリケーションを与えるのか、という問題に答えることである。
そのヒントとなるのが冒頭の“中台青年対話”①~④だ。