突如好転した日米関係

 日本から遠く離れたウクライナ。その異国の地で勃発した事件が、日本の将来を大きく変えたと言えば、読者の皆さんは驚くだろうか?

 昨年末から今年2月にかけて、日米関係は最悪だった。きっかけは、安倍総理が昨年12月26日、バイデン米副大統領の要請を無視する形で「靖国神社参拝」を強行したことだ。米国大使館、そして国務省は、靖国参拝に「失望した」と声明を発表。「ニューヨーク・タイムズ」「ワシントン・ポスト」「ウォール・ストリート・ジャーナル」など有力紙が、相次いで安倍総理を非難する記事を配信した。

 安倍、そして日本バッシングはその後もおさまらず、新年2月半ばになっても「ブルームバーグ」が「日本への懲罰」を呼びかけるなど、緊迫した状態がつづいていた。

 ところが、4月にオバマ大統領が訪日した時、ムードは全く変わっていた。TPPでは合意にいたらなかったものの、25日に発表された「日米共同声明」には、「尖閣諸島は、日米安保の適用対象である」ことが明記された。これは、「尖閣諸島は『固有の領土』『核心的利益』」と宣言している中国への強力な牽制となる。

 米中は、年末年始にかけて、「反安倍」「反日」で共闘体制にあった。それが、今では逆に、日米が「反中」で一体化している。いったい、何が日米関係を変えたのか?そこには“恐怖の大王”プーチンの存在があった。