「院政を敷くぐらいなら、トップを辞めたりしませんよ」──。5月8日、パレスホテル東京(東京都千代田区)で行われたオリックスのグループ最高経営責任者(CEO)の交代会見。
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こう公言したのは、33年余りの長期にわたり、オリックスを率いてきたカリスマ経営者、宮内義彦・会長兼グループCEOだ。
宮内氏は後任のCEOに井上亮・社長兼共同CEOを指名し、自身はシニアチェアマンという新設した役職に就く。加えて、6月の株主総会をもって取締役も辞任する考えを表明した。
宮内氏は退任の理由を「年齢は高いが健康なので、でき得る限り会社を引っ張っていくことも考えた。だが、元気なうちに退任し、違った立場で新経営陣にアドバイスするのが一番良いと考えるに至った」と語った。
併せて、「長らくCEOを務めてきたが、重要ながら後回しにしてきたことがある。それをやりたい」と発言。その内容は、「オリックスの長期的な戦略を考えること」と、「井上次期CEOの次世代の育成だ」と胸の内を明かした。
この発言がまさに“院政”ではないかと勘繰られたわけだが、その質問に対する答えが、冒頭の言葉だった。さらに、思わず漏らした「オリックスは自分の会社のようだ」という言葉に象徴されるように、宮内氏にとってオリックスは自らの分身であり、役職など特に関係ないのだろう。
それもそうだろう。宮内氏は1964年のオリエント・リース(現オリックス)の設立に、準備段階から関与。当時の資本金は1億円で、社員数は13人という零細企業だった。それが2014年3月期の営業収益1兆3417億円、連結純利益1868億円を稼ぎ出す巨大総合金融グループにまで成長したのだ。