筆者は、本コラムの前回分がアップされた翌日(4月25日)、ようやく、日本郵政の西川善文社長が国会で約した「陳謝」の書面を受け取った。

 その内容は、筆者が3月17日の意見陳述で国会に提出した資料「かんぽの宿売却問題について」に関し、日本郵政が西川社長名で訂正と謝罪を求め、筆者の言論活動に圧力をかけようとしたことが適切でなかったと認めたものだ。後述するが、謝罪は満足できる水準にないが、謝罪があった以上、日本郵政による言論への圧力問題にはピリオドを打ちたいと思う。

 しかし、日本郵政の問題は、この圧力問題にとどまらない。政府や国会は、むしろ、これからが「かんぽの宿」売却の出来レース疑惑を解明していく本番と考えており、経営陣の責任追及にも力を入れるという。

 どうやら、日本郵政と西川社長にとっては、「かんぽの宿」問題が「一件落着した」と喜ぶのは早過ぎるらしい。

国会参考人の言論に対して
謝罪訂正を求めた暴挙

 まず、本コラムでも以前に触れており、多くの読者にご心配をかけた経緯があるので、筆者への陳謝について報告したい。言い換えれば、なぜ、西川社長は筆者に謝罪しなければならなかったのかを明かそう。

 話は、3月17日に遡る。

 筆者は、与党の推薦で、衆議院総務委員会から参考人としての招致を受け、「かんぽの宿売却問題」と「日本郵政の経営問題」をテーマに意見を陳述した。

 この意見陳述のポイントは、(1)「かんぽの宿」売却は、郵政民営化の際に5年以内の売却を法的に義務付けた経緯と、実際に売却先としてオリックス不動産を選定した過程の両面に不透明さが付きまとい出来レースの疑いが濃い、(2)「かんぽの宿」売却問題以外にも、構造のよく似た「出来レース」疑惑が少なくとも3つ存在する、(3)国会は、これらのすべての疑惑について、真相を究明すべきである――といったことだった。

 その模様はインターネットの「衆議院TV」で視聴できるので、興味のある方はご覧いただきたい。

 ちなみに、筆者はこの日、総務委員会の許可を得て、同委員会のメンバー(議員)を対象に、理解を容易にする狙いでグラフや法律の条文などを記した補足資料を配布した。