気絶してしまいそうな
住宅価格の高騰

 しかし、今の中国では、こういった話にはもう誰も耳を貸してくれない。住宅の確保に苦しむ人は依然として大勢いるが、苦しむ内容は完全に変わった。住宅は掃いて捨てるほどいくらでもあるが、その値段の高さが厚い壁になっている。

 不動産バブルの崩壊が見えてきている今でも、不動産業界は相変わらず強気を見せている。先週、上海のお手伝いさんの専用室まで備えた3階もあるメゾネットタイプの高級マンションは、690平方メートルで販売価格が2億3000万元(約37億円)となっている。計算機を数回叩き直した。自分の計算した結果を信じることができなかったからだ。坪単価は100万元、つまり1600万円になる。

 こうした超高級マンションは、庶民の生活とは関係ないといえば関係ないかもしれないが、普通のマンションでも非常に高い。普通と言われる上海のマンションでも、その販売価格は東京とは差がないくらいだ。所得事情を考えると、実際の皮膚感覚で言えば、ざっと東京の不動産価格の数倍から十数倍もするようなものだ。

 家をもっているかどうかが、都市部の若者が結婚相手を決める条件の一つとなっている。現金な考えとはいえ、その苦しみは理解できる。住宅の頭金を支払うだけでも、その金額が数十年分の収入に相当する場合もある。気が遠くなる前に、先に気絶してしまいそうな話だ。

 しかし、話はそこではまだ終わらない。子どもが産まれたら、いい小学校に入れるために、今度、「学区房」つまり優れた学校の学区内にある住宅を確保しなければならない。不動産バブルの崩壊が迫ってきているなかで、最近は北京の新築住宅や中古住宅の成約件数はともに低いものの、学区房だけは好調を保っている。

 西城区奮闘小や東城区史家胡同小など重点小学校の学区房の価格は毎年1平方メートルあたり1万元上がっており、2011年の1平方メートルあたり4万からすでに8万元にまで値上がりしている。西城区の実験二小近くにある1平方メートルあたり30万元の学区房は2日で売れてしまった。坪に換算すると、90万元、つまり1440万円になる。また計算機を叩き直した。

 中国教育科学研究院の研究員は、高額な学区房物件が出現した理由は教育の不均衡にあるとし、よりよい教育資源を得るのに頼るべきツテもコネもない状況で、一家の主にとっては住居が頼みの綱なのだ、と述べている。