「新人は、相手の言うことを聞くもの」。
その理由とは?

 そして、新人のうちは「とにかく、相手の言うことを聞く」というのも大事なスタンスです。

 僕の経験から言っても、出会う編集者のすべてが優秀で、漫画のセンスに溢れ、的確なアドバイスをするわけではありません。

 正直に言えば、「えっ、そんなふうに描くの?」「こんな修正をしたら、まったく面白くなくなるよ」という指示を出す編集者もいました。それでも、若いころはとにかく編集者の言うことを聞いて、目の前の第一読者(編集者)を喜ばせることに意識を集中しました。

 理由は、大きく分けて2つあります。
 1つ目は、そもそも実績のない新人漫画家が何を言ったところで、聞く耳など持ってくれるはずがないということです。ペーペーが偉そうな意見を言っても「代わりはいくらでもいるからな」と言われて終わりです。

 仮に僕の言うことが正しかったとしても、結果としてチャンスを失い、その後の可能性を潰してしまうとしたら、これは本末転倒です。