難しいことを簡単にするだけでビジネスになる

「伝え方を伝承するためにも、コピーライティング学を作りたい」<br />【佐々木圭一×小西利行】(後編)

佐々木『伝わっているか?』ですごいと思ったのは、伝わるメソッド「カンタン解」です。「難しいものを簡単にするだけで、それが新しいビジネスになっていく」と書かれていて、改めてそうだなと思いました。僕もモヤモヤっと思っていた部分はあったんですけど、それが文字としてきれいに書かれていた。あぁ、確かにその通りだな、なるほどなと感心しました。

小西 世の中、難しいことが多すぎると思わない?もっと簡単にすればいいのにと常々思ってます。だから、起業したい、新しいアイディアを思いつきたいと考えてる人たちは「新しいビジネスって何だろう」「新しいアイディアって何だろう」って考えちゃダメなんですよ。

佐々木 難しいことだらけです。

小西 それよりも、まずは「世の中で難しいことは何か」というのを列挙しないと、新しいものは出てこない。難しいものを簡単にする方法をアイディアとして書いていけば、それこそが新しいことです。

佐々木 逆転の発想ですね。

小西 たとえば「彼氏がなかなかできないんですけど」という難しさでは、出会いのビジネスが成り立ちます。「役所の文書、難しくて書けないや」となれば、代行業が出てくる。「保険なんか、もうわけ分かんないでしょ」では、保険を簡単に解説するサイトができる。
 GoogleとかAppleも「こうだったらいいのにな」と思ってる人が作ったすごい簡単な原理なんですよね。僕自身、それに気づき驚いたので、これは言っておきたいと思った。でも全部書いたら気分的にはちょっとブルーになるんだなって、今わかりました(笑)。

佐々木 一冊の本を書くって大変ですよね。今までの自分の人生を全部ぶちまけて、一番おいしいところを出さないと、本なんてできないから。本は僕のものじゃなくて、読む人のものですしね。僕も誰にも言ったことのないコピーの作り方、しかも誰でもできるように超噛み砕いて公開しちゃいました。「あぁ、もうこれで俺、商売上がったりかも」って怖くなっちゃいましたけど(笑)。おいしい料理のレシピみたいに、少しでも誰かの役に立てればと思って、えいっと出しましたけど、出した瞬間は、やっぱりちょっとブルーになりました(笑)。