言葉はエネルギーであり、視覚的に表すもの

小西 佐々木君は今、学生に教えているでしょう。以前、「学生たちは深く考えずに喋っている」って言っていたのが印象に残っていてね。

佐々木 教えている大学生に課題として企画書を書かせたんです。彼らに内容の説明をさせたら、まあ、つまらなかった(笑)。ところが、その後の飲み会で、さっきつまらない説明をした学生が「実は、あれはこういうことだったんです」と話してくれて、それはすごく面白かったんですね。「発表でなんでそういう話をしなかったの」と言ったら「いや、それは話すポイントじゃないと思って」と言うんです。「いやいや、そこだよ!」って。

小西 間違った方にいっちゃったんだね。

佐々木 その時、何でこんなことが起こってるんだろうと、僕は考えたんです。自分は満足しているけど、相手は全然面白いと思ってない、もしくは伝わっていないことが世の中では日常茶飯事に起こっているのではないかと。

小西 うん、そうだね。

佐々木 だけど相手のことを想像した上で伝えれば、自分の思ってることがより相手に伝わるはずだとも思いました。そのポイントが、一般的に知られていないんじゃないかと。これは大学生もそうだし、新入社員やサラリーマンも、主婦も、相手のことを想像した上で伝えれば、今よりもハッピーになれるぞって思ったんですよね。
 その具体的な方法を本にまとめたいと思ったんです。子どもの頃から、「相手のことを考えて話せ」とずっと言われてきたし「相手のことを考えて行動しろ」とも言われ続けてきたけど、実際どうすればいいかわからない。なぜなら教えてもらってないからです。
 それを具体的な部分まで落とし込みたくて、あえて「レシピ」という表現をさせてもらいました。レシピとは、手順に沿えば誰でもできるという意味。大学一年生が見てもすぐ使えるレベルまで噛み砕きました。

小西 すぐわかるレシピだ。

佐々木 あと、小西さんにこの本を見ていただいた時に、一つ褒められたところが一番初めにあったんです。「言葉エネルギー」を→で表したところです。

小西 あれは面白いね!

佐々木 矢印で、その気持ちの盛り上がりをグラフにして伝えたところですね。

小西 そうそう。あれにはびっくりした。頭でわかってても、自分でもぼんやり理解してることってあるけれど、それが絵になって出てきたり、言葉としてシンプルに出てきたりすると、人は驚くんだよね。僕はその「言葉はエネルギーである」っていう定義に「あ、なるほど」と驚いたんです。僕らはなんとなく驚かせてやろうとか、泣かせてやろうっていうようなことを思いながら喋るけど、それがエネルギーであって、上下に振れ幅がある。「一回上げて、このくらい下げると、ここにギャップが生まれるから、人に伝わりやすくなります」という意味が感覚としてわかってくるんだよね。

佐々木 そうですね。

小西 佐々木君はロジックを視覚的にまとめるんだよね。イメージも色で分析したりグラフ的に分析されていたり。そういう感覚があるんだと思います。ただ、それもわかりやすいきちんとした文章があった上でのものだから「へぇーっ」って。理論で難しそうに書かれてる本の中で紹介されても、結局誰の目にも触れないわけだから。それこそ、伝え方がうまかった。

佐々木 理系的な発想っていうのもあるかもしれないし、それを伝える時に、たとえば、AKB48を卒業した前田敦子さんが「私のことは嫌いでも、AKB48のことは嫌いにならないでください!」と言った時に「私」という個人と「AKB48」 という団体を対比させた絵のような分かりやすさがいいなと思ったんです。
 小西さんと話していると、お互いの共通点と同時に「伝え方」の違いがより明確に見えてきて、話していてワクワクする感じがありました。今日はありがとうございました。


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「伝え方が9割」バックナンバー

第1回 無理めな、あの人に デートOKをもらうコトバとは??

第2回 チカン多発地域!ある看板をつけたら チカンが発生しなくなった、そのコトバとは??

第3回 困った自転車放置!ある看板をつけたら放置がなくなる、そのコトバとは?

第4回 子どもが言っても勉強しない!言い方を変えたら、勉強をはじめたそのコトバとは?

第5回 いままで伝えることが苦手だった人のほうが、この方法で劇的に人生が変わる【本田直之×佐々木圭一】(前編)

第6回 伝える技術って、相手のことを想像する技術でもあるんです。【本田直之×佐々木圭一】(後編)

第7回 「相手のことを想像して伝える」それが、この本に書いてあるすべて【姜尚中×佐々木圭一】(前編)

第8回「心」という小説を書くことで、亡くなった息子に近づきたかった【姜尚中×佐々木圭一】(後編)

第9回 なぜDJポリスの伝え方が、群集を動かしたのか?そこに使われていた「伝え方のレシピ」。

第10回 DJポリスが伝え方で使った「チームワーク化」。これを使えば動かない人も動く。

第11回 実は隠れコンセプトは「相手のことを想像する技術」【元スターバックスコーヒージャパンCEO・岩田松雄×コピーライター・佐々木圭一】(前編)

第12回 上司は、自分が上司にやっていることを部下にも同じように求める【元スターバックスコーヒージャパンCEO・岩田松雄×コピーライター・佐々木圭一】(後編)

第13回 伝え方を身につけたら、日本企業は強くなる【サイバーエージェント藤田晋×佐々木圭一】(前編)

第14回 技術者こそ、伝え方の技術を学べばいい【サイバーエージェント藤田晋×佐々木圭一】(後編)

第15回 自分を世の中にどう伝えていくかが重要なこと、みんな肌で感じ始めてきてる【しずる村上×佐々木圭一】(前編)

第16回 世の中のいい言葉には、法則がある【しずる村上×佐々木圭一】(後編)

第17回 伝え方で勝利!オリンピック東京招致プレゼン

第18回 2013年は、話しベタ日本人の「伝え方元年」

第19回 「あ、これは本物の本だな」と思ったんです【佐々木圭一×鈴木おさむ】(前編)

第20回 ほんのちょっとのサービス精神が、奇跡を生んだりする【佐々木圭一×鈴木おさむ】(後編)

第21回 【第1回】就活も、伝え方が9割 編
面接官のことを想像する

第22回 「小林さんが憲法を読んで伝えるというのは、まさに伝え方のギャップ法ですね」【小林麻耶×佐々木圭一】(前編)

第23回 「学べば“強い言葉”は誰でも作れます」【佐々木圭一×小林麻耶】(後編)

第24回 「相手の立場になって、考え抜いているか」【佐々木圭一×小西利行】(前編)