ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
スマートフォンの理想と現実

相性がいいスポーツと通信・放送テクノロジー
W杯や東京五輪を10倍面白くする技術の実現度は?

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第63回】 2014年6月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
4
nextpage

超臨場感コミュニケーション(5分42秒)

 従来のホログラフィーに近い立体映像といえば、概ねお分かりいただけるだろう。その意味ではすでに商用化されているものだ。今後はこうした映像が、より手軽に流通し、パーソナライズされていくと考えられる。

 たとえば2020年代におけるスマートフォンには、ホログラフィーに対応した小型プロジェクタが内蔵されていて、自分の好きな超臨場感映像が、机上で手軽に楽しめるかもしれない。あるいは複数台のプロジェクタ内蔵スマートフォンを連携させることで、会議室のテーブルくらいの大きさで、ホログラフィーによる裸眼立体3Dの試合中継を楽しむ、といった使い方も考えられる。

自由視点映像(6分51秒)

 スポーツ全般において、試合中のフィールドに、カメラを設置することは相当難しい。サッカーでいえば、たとえば本田圭佑選手のフリーキックを、背後から見て、どのくらい揺れているのか、無回転シュートがいかに相手ゴールキーパーにとって厳しい攻撃なのかを、体感することは難しい。

 しかしながら、ピッチを取り囲むようにカメラを複数台配置して、カメラ間の映像を演算によって補正すると、あたかも本田圭佑の真後ろのピッチ内にカメラが置かれているかのような映像を見ることができる。

 これも技術的にはすでに実現されているものであり、2010年の招致活動の際にも、KDDI研究所の協力を受けて、子どもたちがリフティングで遊ぶシーンを、彼らを取り囲むカメラで撮影・処理して、360度どの方向からでも見られるというデモを行った。

 自由視点映像の場合、課題となるのは、計算機の処理能力と、スタジアムにカメラをどのように設置するか、ということである。ただし前者については、いわゆるムーアの法則だけでなく、画像処理に特化したプロセッサの能力向上が著しいことから、それらの並列コンピューティングによって、リアルタイム処理に近づけられる。また後者は、スタジアム建設時から設計を考えることが望ましいが、これもカメラの(大きさも含めた)性能向上と価格の低下によって、設置の自由度は遙かに向上している。

previous page
4
nextpage
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

「スマートフォンの理想と現実」

⇒バックナンバー一覧