欧州にしてもロシアにしても、相互依存関係は強く、軍事的対決よりも政治的解決を志向する力が働く。したがって、現場においてウクライナの極右勢力やロシア人のナショナリストたちが混乱を引き起こすというリスクは引き続き多大なものがあるが、基本的にはウクライナ問題の政治的解決に向いていかざるを得ないのだろう。

構造変化の影響を最も受けた東アジア
地域秩序を規定する日米中関係

 世界の構造変化の3つの要素に最も大きな影響を受けているのは、実は東アジアである。今後、東アジアの構造変化はどのような事態へとつながっていくのだろうか。

 過去そうであったように、将来も、日米中の3ヵ国の関係がこの地域の秩序を決めていくことになる。日米中の国力が相対的に大きく変化し、これからも変化していくことは明らかなのだろう。

 そのような国力のバランス変化の中で、それぞれの国の対外姿勢は国内情勢に大きな影響を受ける。

 まず、中国を見てみよう。2012年に成立した習近平体制の最大の眼目は、経済成長の維持である。習近平政権は、低賃金に依存した製造業大国として輸出が経済を引っ張り、潤沢な財政を活用して国内消費需要を高めるという手法が、もはや十分な効果を発揮しない段階に達したことを認識しているようである。

 そのような認識に基づいて、習近平総書記は、改革実行のための体制強化を行い、自らに権力を集中する体制をつくった。いまや、共産党総書記、国家主席、軍事委員会主席という伝統的な3つのポストに加え、5つの新しいポストの長を務めている。新設の国家安全委員会の委員長や、経済改革のためにつくられた小組の長を兼ねている。これは従来にはない権力集中である。