車載用マイコンが主力のルネサスで、数少ないアップルビジネスを手掛けるRSPの13年度の売上高は約660億円。営業利益率は約20%に上り、年間で百数十億円の営業利益をもたらすルネサスの隠れた“孝行息子”だった。

本社は豊洲に移転

 しかし、ルネサスの大株主である産業革新機構が「ボラティリティ(変動性)の高いスマートフォン向けビジネスを嫌った」(関係者)。主力のマイコン事業を除けば、日立の半導体部門をルーツとする稼ぎ頭の象徴だったRSPは、構造改革でルネサスから切り離されることが決まり、昨冬から売却先の選定が進められていた。

 優良子会社の売却とともに、ルネサスは構造改革で本社移転の準備も進めている。本社が入居する東京・大手町の日本ビルは、かつては日立の電力事業本部などもあった“日立色”の象徴ともいえる建物で、1980年代から日立の半導体部門の主力拠点だった。

 だが、長年過ごした日立ゆかりの地に別れを告げ、東京都江東区の豊洲駅周辺のビルへ本社を移転する方向で最終調整中。「賃料が現在の約8分の1になる」(ルネサス幹部)ことが決め手という。

 日立、三菱電機、NECの3社を母体とするルネサスでは「工場売却で日立が優遇されている」と出身母体間のやっかみも絶えなかった。今回の改革で生まれ変わりは進むか。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)