8月2日、鶴岡工場の閉鎖などの再建案を発表するルネサスエレクトロニクスの作田久男会長

 閉鎖よりもメリットがあるので検討を――。

 先日2~3年以内に閉鎖することが発表された半導体大手、ルネサスエレクトロニクスの鶴岡工場(山形県鶴岡市)。8月末にも工場閉鎖に向けた詳細な“工程表”をルネサス本社は策定する予定だが、地元では工場を存続させようとする勢力が結集。一度は立ち消えた工場の“独立計画”が活発化し、閉鎖に「待った」をかけようとしている。

鶴岡工場を買収し
新会社で操業を続ける

 水面下で鶴岡工場の独立を模索しているのは、地元の関係者らを中心に、旧NECエレクトロニクス系の技術者、装置材料企業などが加わったグループだ。工場買収のための新会社を設立し、地元企業などから資金援助を受けてルネサス本社から鶴岡工場を買収し、新会社で操業を続ける計画だ。立地自治体にも協力を求めており、賛同を集めつつあるという。

 鶴岡工場売却をめぐっては、ルネサスは台湾の半導体製造大手TSMCと交渉を進めたがまとまらず、存続をあきらめて閉鎖を決めた経緯がある。ただ、交渉の経緯を知る関係者は「台湾に食い込みたい主力取引行の意向で、売却先はTSMCありきで進められた」という。ほかにも一部報道では鶴岡をめぐる交渉はあったようだが、ことごとく実らず、関係者には無念の思いが強く漂う。